「嘘は言わなくていいよ。…ただ、サチちゃんに避けられてるの、嫌だっただけ。ねえ、サチちゃん答えてよ。」

「…嫌いになんて…!」

思わず大きな声が出た。
確かにあんなことされて、すごいびっくりして、その…恥ずかしいけれどドキドキして。

「べ、別に嫌じゃなかった…から。」

語尾がどんどんと小さくなってゆく。それと同調するかのように、腕の力も弱まっていった。


そして完全に脱力した佐藤くんは、いきらなり床に座り込んだ。

「〜〜!!サチちゃん!」

「な、なんでしょう…。」

「…あんまり可愛いこと、言わないで。」

「え、えええ…?」

佐藤くんは顔を手で覆いながら言った。
さっきの佐藤くんとは打って変わり、いつもの彼になった。ピリピリしたムードから一転、いつもの調子に。

仲直りしたってことでいいのかな、なんて。