佐藤くんがお皿を洗う音をBGMに私はぼーっとしていた。お腹いっぱいで、あったかい紅茶。なんだか眠くなってくる。うとうと、として思わずテーブルに伏せてしまった。水道の音が止まった。

「…サチちゃん、あのねえ…。」

佐藤くんがはぁ、とため息をつく声が聞こえてきた。

「…僕だって男なんだから。…ちょっとは意識してくれないと、困るんだけど?」

目をぱちり、と開く真横に佐藤くんの端正な顔。吐息が耳に掛かりそうなくらい近い。

体温が急上昇する。頬も心なしか熱い。

「…ご、ごめん!も、もう行くね!美味しかったよ!」

私は勢い良く立ち上がって、調理室から走り去った。冷たい風に当たっても、火照った体は収まらなかった。