「サチちゃんさ、部活入らないの？ほら、伊織も言ってたでしょ？」

「…うーん。あまりピンとこなくて。それに、ほら。中途半端なの、嫌だしね。」

「…なるほど。ま、それもサチちゃんらしくていいと思うよ。少なくとも僕はね。」

そう言って笑う佐藤くんの顔を見ると心なしか安心できた気がする。

「…あ、ごめん。僕が口出すことじゃなかったよね。」

「う、ううん！むしろそう言ってもらえて…その、なんていうか…安心、しました。」

「そっか。」

佐藤くんは流れるような所作で紅茶をティーカップに注いだ。そんな格好も様になっていると思う。

「そろそろお皿片付けるね。あぁ、サチちゃんは座ってて！」

何枚もお皿を重ね、佐藤くんは流しへと持って行った。こういうのって…やっぱり女の子がやらなきゃいけないのに。なんだかいきなり申し訳ない気持ちになった。