「あ、」

佐藤くんが突然声を出し、傘を傾けた。
雨は止んでいて、ちょっと蒸し暑いけれど、それでも太陽は雲の隙間から顔を覗かせていた。

「あ、虹…。」

地平線の上に、七色の虹が綺麗に浮かんでいた。虹なんて、久々に見たような気がする。とっても綺麗だけど、すぐに消えてしまう。小さい頃は虹の根元を探したりしたっけ。

「あ、本当だ。僕、久々に見たかも。」

「私もだよ!もう少し見ていたいけど…先輩たち、行っちゃったから…。」

「姉さんなら大丈夫。だから、ね?もうちょっと、ここで二人でいようよ。」

佐藤くんの笑顔は太陽みたいに綺麗で、眩しすぎるくらいだった。

嗚呼、やっぱり私は。


彼のことが好きなんだ。