どのくらい時間が経ったのか、僕にも分からなかった。ただ、いつの間にか触れていたサチちゃんの肩が、もう震えていないことだけは分かる。ごめんね、サチちゃん。弱いところにつけ込んで。

僕はゆっくりと唇を離す。サチちゃんは驚きが混じった瞳で僕を見た。

「さ、佐藤くん…な、なんで…?」

「なんでだろうね。僕にも分からないよ。…浴衣、直しておいで。そしたら、お祭り。ちゃんと回ろう?」

サチちゃんの背を押し、僕は無理やり整えに行かせた。

普通にサチちゃんに話しかけていたように見えるかもしれないけれど、実は僕の心臓は、今にもはち切れそうだった。