とはいったものの、サチちゃんの姿は、神社の奥でも見えない。一度、引き返してみよう…。僕は一度通った道をとぼとぼと歩き始めた。

折角二人で回れるのに。折角サチちゃんから誘ってくれたのに。僕が見つけられないなんて。

俯きながら歩いていると、また入り口に戻って来ていた。僕は人を避けるように、入り口から外れた。周りは木が茂っていて、あまり人が寄り付かない。さすがにこんなところにはいない、よね。

僕は周りをくるり、と見渡した。


斜め前の木に女の子がいる。周りには男が三人。浴衣の着方もなっていないような、品のない男。いつもの僕ならきっと、そのまま素通りして、知らぬ顔だっただろう。

でも、今日は違う。

「や、やだっ…。」

震えるようなか細い声が、大好きな人のものだったから。