大好きだったあいつ



その3日後、沙耶がランチに誘ってきた。


店に着くと、見覚えのあるキツネ顔が椅子に座ってこちらを見ていた。


「あ!
ちょっと沙耶……何でこの人連れて来たの?!」


「ごめん、謝らなきゃって思ってさぁ…」


「もういいってば!
えっと…キツネ…じゃないや、名前…」


名前が出て来ずにう〜ん、と唸ると、気まずそうに一郎です…と小さく教えてくれた。


「あっ、そう!
一郎君と沙耶がいいなら、あたしはもう関係ないから!
それより、あたし他でランチ取ろうかな?」


3人なんて、どうもおかしい。
嫌な予感しかしなくて早くこの場を立ち去りたかった。


「ほのか、何そんな焦ってるの?」


「や、なんか……落ち着かなかなくて。」


そんなあたしを見てニヤニヤする沙耶に、確信へと変わった。


「悪い、遅れた!」


後ろから聞こえた声に、振り向くのを止めた。


「…沙耶?」


ギロ、と沙耶を睨むと、へへッと笑った。