大好きだったあいつ



カァっと赤くなったあたしの顔を洋平さんはジッと見つめて、いきなり手首を掴んで引き寄せた。





スッポリ彼の腕に収まったあたしの頬を手で覆って上に上げた。


至近距離で合う視線に心臓がドキドキ高鳴る。


触れるか触れないかの所で目を瞑ると、フハッ!という吹き出す声が聞こえた。


目を開けると、目の前で笑っている洋平さんが映る。


「懲りねぇなぁ、あんた。
何期待してんの?」


はぁぁぁあ!??



「こんなんで赤くなったり動揺してるようじゃ、あの頃と変わらないじゃん。
頑張っても21歳だよな。」


その言葉に、彼の胸を両手で勢い良く押した。


「…っなにするんだよ。」


「昔も高校生だって拒絶して、今も21歳だってバカにするの?
洋平さんの言う大人って、それ恋してる人の行動じゃないよ!
赤くなるのはドキドキするからでしょ?
当たり前の事じゃん。」