「へー…」
「別れる気があったら、あんなくだらない事しねーでぶん殴りに行ってるって。」
そりゃそうだ。
あたしは何であんなのにうっかり乗ってしまったんだろう。
後悔の念で頭を押さえていると、
「そういう信じやすいとこ変わってねーな。」
なんて言うから、なんだか胸がざわついた。
やっぱりあたし、この男が好きだったんだと実感する。
何気ない言葉や仕草が胸を熱くする。
自分だって変わってない。
「……今日、こうちゃんとこいって来たんだけど、洋平さんって唯さんとも知り合いだったんだ。」
返って来ない質問に顔を上げると、何だか言葉を探すような顔でグラスを持ったまま固まる洋平さんに息を飲む。

