大好きだったあいつ



少し拗ねた様な顔をする私に、フッと笑った。


「いいだろ、今から美味いもん食いに行くんだから。」

とナビを触りだした。

「?
どこ行くの?」

「お前好き嫌いないっけ?」

うん、と答えると車を走らせた。


「洋平さんは?
好き嫌いあるの?」


「あー…トマトだけは無理だな。」

まさかの答えに思わず笑ってしまう。


「トマトとか、女の子みたい!」

そんな私に、笑うな。と脇をこしょぐられる。


うわ、カップルっぽい…


知れば知る程意外な彼の姿に私は昔の様にどんどん気持ちが持って行かれた。


着いたぞ。と言われて慌てて外を覗くと、綺麗な建物がライトアップされていた。

「ここ何屋さん?
私仕事帰りなんだけど…」