大好きだったあいつ



彼がそのまま静かに腰掛けたので、つられて座った。


キィ…という金具が鳴る音と、風が木を揺らす音だけが響く。


「………洋平さん。」


ん?という声を聞いて、体を彼のいる方へひねる。


「ありがとう。」


「…………………。」


何も言わないとこが、この人らしい。


「いっつも洋平さんのチョイスには間違いがないね。
選ぶ場所、選択肢。」


「……そんな事ねーよ。」


フッと笑って俯いた表情が何を示しているのか読み取れない。


「買いかぶり過ぎだろ。
ただの年の差。」


「……年の差は、いつ埋めれるの?」


あたしの質問に少し驚いた様な顔で顔を上げた洋平さんを見て、何を言ってるんだとハッとした。