「……泣くほどいい男か、そいつ。」
ブンブン首を横に振ると、フワッと頭に温かい温もりを感じた。
「…それでもその女より好きになってもらえるように頑張るとかはしないのか。」
「そんな選択肢、この状況であるわけない。」
「……そうか。」
グスッというあたしの泣き声だけが車に響く。
何分経ったのか分からないが、しばらくあたしが泣き止むまで何も言わずにただ一緒に居てくれた。
少し落ち着いて来て、顔をゆっくり上げると窓の外を見る洋平さんの横顔と、窓越しに映る何かを考えるような表情に見惚れる。
そんなあたしに、窓越しで目が合い気が付いた。
「…泣き止んだか。」
「…はい。
すいません。」

