大好きだったあいつ



いざとなると、何を話せばいいのか分からず、えっと…を繰り返した。
そんなあたしにイラつきながら、タバコの火を消す洋平さん。


「何なんだよお前は!
相談なのか愚痴なのか泣き言なのか、はっきりしろ!」


「うん……どれだろう、これは。
自虐?笑い話し?
あのね…洋平さんの言ってた事、当たってた。
あの人あたしのこと好きじゃなかった上、片想い中の女抱いてからシレッと会いに来てたの。
笑えるよね!本当にあたしバカ過ぎてびっくりした!
何がデート?ほったらかしてその女に会いに行ったくせに!」


言い終えて半笑いで彼を見上げると、バカにした顔をしていると思っていたのに、真剣な顔であたしを見ていたので思わず顔から笑みが消える。


「……全然笑えないんだけど。
お前もバカだけど、普通にそいつカスだろ。」


彼のその言葉に、ボロっと涙が溢れた。

どんな顔をしていれば良かったのか分からなかったのは、泣いてしまう自分を隠すために無理していたのだと気付いた。