急にそんな中学時代の思い出が蘇ったのは
キッチンにたって料理をしていたとき
持っていた包丁の刃をずっと眺めていたときだった

この刃をそっと手首にあててゆっくり下に力を入れながら引いていく
そんなに大きな力はいらない
そうするとその刃が描いた線をたどって皮膚が裂け血液が静かに流れ出す
鮮血とともに明るくなってくる視界、戻ってくる意識の中できっと
彼女たちは痛みを知り、自分の存在を知る

最近衝動が少しだけある

切ってみたい
切ってしまえば
切ればもしくは
切ったら…

考えより先に目が刃物を探す
包丁、鋏、ナイフ、カッター、剃刀
その刃の先に指先を当てて落ち着く、切った事はまだ無い
冷たい感触に我を取り戻して終わりにしてしまう
正直痛いのは怖い

リストカットは手だけじゃない足にする人もいる
切るだけでなく似たようなこととして噛む人もいるみたい
または火傷、男の人は煙草の火の先で自分の腕を焼いたりする人もいるとか
この知識はネットに載っていたのを鵜呑みにしただけ

昔はね
かっこつけたファッションだと思ってた
友達がふとした拍子に見せたり、他人に切らせたりしてた時もあったから
でも今ならわかる
彼女たちは精神的に病んでいて、手首を切りつけることで落ち着き
その傷跡が増えれば増えるだけ悪化していく症状
連鎖していく症候群

死にたいんじゃなくて死にたくない
狂っていると思わせたいんじゃなく、落ち着きを取り戻したい
その傷跡分の訴え、彼女たちのSOS信号

じゃあその傷をつける原因は何?

私の場合は人自己嫌悪
きっと他の人の場合も自己嫌悪