「クラスが離れても、ずーっと凜とは友達だからね!」

隣で萌が泣きそうになっている。

「萌。隣のクラスだよ。いままでとなにも変わらないよ。」

「でも、凜と離れたら心細いよ。新しいクラスで友達できるかな。不安。」

「大丈夫!萌ってほんと心配性だよね。」

わたし、小川凜。元気がとりえの十三歳。趣味は食べること(きっぱり)!

部活は吹奏楽部。フレンチホルンを担当しています。

横にいるのは、小学校からずーっと仲良しの、永井萌。
萌って可愛いんだよ。小柄で目がおっきくて女の子っぽいし、性格もこのとおり。
萌には、ずっと頼られっぱなし。
でも、いやじゃないのは、わたしがふたり姉妹の姉だからかなあ。
と、いっても、いまや、うちは、妹の蘭のほうがしっかりしているけどね。とほほ。
わたしも萌も、今日から、中学二年生です!
始業式の日。がやがや、ざわざわ。
生徒でごった返している廊下。
親友の萌と、掲示板に貼りだされた新しいクラス表をチェックしている最中。
まるで合格発表みたいに騒がしい。
うちの中学は一年ごとにクラス替えがあるの。
わたしと萌は、残念ながら別のクラスになっちゃったけど、じつはもうひとり、
気になる名前があるんだよなぁ。
どこのクラスかな?ひそかにチェック。
あ、やった!広瀬とは、同じ2-Aだ!
「凜、よかったね。広瀬くんと同じクラスだね!」
ぎくっ!ひえー。萌ってば、なんでわかったんだろ?
「こ、声が大きいってば!」
「ふふふ。凜のことなら、なんでもわかっちゃうんだから。」
「…………」
「よかったね。」
「うん。」
「凜は、こう見えて、好きな子には、いくじがないもんね。」
「あー。もう、そんなんじゃないってば!」
「いいから。がんばってね。」
「……萌。」
な、なんだ。萌には、バレバレだったんだ?