「梨香ー起きなさいよ。優芽ちゃんもう来てるよ」


お母さんの声が聞こえるような…
まあいっか。寝ちゃえー…

「りーかー!」
バサッ

「うわーん寒いよー」

布団を取られて震える私。


「いいかげん起きなさい!優芽ちゃん玄関に待たせてるよ」

「ふぁーい」

優芽(ユメ)とは、私の一番仲のいい友達、いわゆる親友。

毎朝迎えにくる。

「まったく…優芽ちゃんはいつも迎えに来てくれていい子なのに」
お母さんは私をみてため息をつく。

まるで、私とは正反対とでも言いたそうな顔でみてくる。

私は優芽が嫌いだ。
小さい頃からいつも一緒にいたけど、優芽はかわいいし優しいから、女の子にも男の子にも好かれていた。

それに比べて、私はバカだし、運動もできなくて取り柄がない。

正反対な優芽と私。
もちろん、優芽が好かれるほうで、私は目立たない。
そんな優芽と一緒にいることが、今まで苦痛でならなかった。