「シェラ様が――」
シードの話しというのは、クローディアの女王シェラへの謁見が決定したというもの。本来シェラへの謁見は新人隊員が仕事に就いた時を予定していたが、精神的に不安定のシェラ。
現在の状況では危険と判断され謁見は中止となったのだが、今は精神が安定しているので新人隊員との謁見が決定したという。しかし「謁見」にいい印象を抱いていないエイルの表情が強張る。それに途中で不安定になった時、どのように対応すればいいかわからない。
「どうした?」
「平気……なのでしょうか」
「シェラ様か?」
「……はい」
「確かに、お前の言いたいことはわかる。シェラ様は、精神的に不安定の身……何も無ければ良いが……決定を下した者は、何もわかっていない。シェラ様が負った傷は、思った以上に深い」
シードは目上の者にあれこれと意見を言える立場ではないが、シェラの心情を思うと謁見に付いては反対だった。精神が安定しているので謁見が決定されたとなっているが、その安定が一時的のものであったらどうするというのか。また、上の者の都合が見え隠れする。
シェラが精神を病んでいることを知っている者はごく一部で、多くの国民は「病気」と認識している。だが、王家の盾となるべき親衛隊。真実はいずれ判明し、隠しきれるものではない。
それなら真実を知るのなら早い方がいいという意見もないわけではないが、やはり現在のシェラの状況を思うと無理しての謁見は不憫で居た堪れない。両親と兄を殺害され、一人となってしまった幼い少女。彼女の心情は計り知れず、傷付いた傷はいまだに癒されることはない。
「アルフレッドが……」
「常識を弁えているのか?」
「普段は不真面目な奴ですが、人一倍王家への忠誠は高いです。ですので、状況がわかれば……いや、わからないといけないと思います。シェラ様は、たった一人の生き残りですので」
「確かに」
「あと、あのように見えて口が堅いです。それに自分が何をすべきかは、理解しております。状況がわかれば、協力をしてくれるでしょう。肉の壁要因として入隊を認めたのですから、こういう時に利用しないといけません。と、同僚の悪口を言ってしまい申し訳ありません」


