父親の的を射た発言に、エイルは納得する。それに一国の王に冷や汗をかかせ跪かせるほどの強大な権力を有するクリスティが異論を唱え不平不満を漏らしていないので、バゼラード家に影響が及ぶことはない。また影響があるというのなら、暢気に話していないという。
「お前の友人の件も片付いた。これで安心して、仕事に励めるだろう。イルーズ共々、期待している」
「はい」
それが会話の終了の合図となり、エイルは父親に向かい深々と頭を垂れると踵を返し退出する。息子が立ち去り、扉が閉まる音が部屋の中に響く。その瞬間フレイは神妙な面持ちを浮かべ、国の行く末を思う。
◇◆◇◆◇◆
「昨日、どうした?」
翌日、エイルの姿に気付いたアルフレッドがそう尋ねる。真面目人間のエイルが仕事を休んだ――それを不審に思い、彼の身にトラブルが発生したのかどうかあらゆる面を質問していく。
「野暮用」
「その野暮用って何だ」
「何でお前に説明しないといけない」
「興味あるから」
「全く……お前は何でも興味が湧くな。まあ、隠すことでもないからいいか。簡単に言えば、メルダース時代の友人が来た」
「メルダース」という単語に、アルフレッドが食い付いてくる。しかしそれ以上に、どうして友人が訪ねてきただけで仕事を休んだのか。肝心な部分を話していないと見抜いたアルフレッドは、エイルの学友がクローディアに訪ねて来た理由を聞きだそうと躍起になる。
「仕事」
「ああ、就職か」
「それに近い」
「違うのか?」
「正しくは、再就職」
彼の説明にアルフレッドは、メルダースの卒業者なので更なる高みを望み働く場所を変更したと考え感心する。だが、エイルの友人ラルフが高みを望む以前の問題行為を起こしている。だからクローディアに再就職先を求めたと説明すると、アルフレッドは呆れてしまう。


