ロスト・クロニクル~後編~


 フレイはラルフの正確面は貶しているが、あの世界最高峰のメルダースを一年の留年だけで卒業した能力は高く買っている。だからこそ甘え切った性格を改善すれば立派な人物に生まれ変わってくれるだろうと、淡い期待を持ちつつ信頼しているベーゼルのもとに預けた。

 また、これだけのことをしてやったのだからこれで変わらなかったらそれまでと、切り捨てる。これこそフレイの本音か、エイルはとんでもない人物に目を付けられたとラルフに同情する。

 ラルフは唯一友と呼べるエイルを頼りクローディアを訪れたが、まさか悪友の父親がこれほどの人物だとは予想もしていなかっただろう。しかし給料がいい場所に就職できたのは彼にとっては最大級の幸福というべきか、それに珍獣と呼ばれていた人物が普通の男に変化した。

 流石に、ラルフの変化に付いては黙っておかないといけない。彼が置かれている立場も関係しているが、いかんせんイメージに当て嵌まらない。第一に借金返済を優先しないといけない身分なのに、恋愛に現を抜かすのは持っての他とフレイは厳しい意見を言うに違いない。

「学園長が喜びます」

「それは嬉しいものだ」

「これについても、手紙にしたためようと思います。借金に関しては、学園長は気にしていますので」

「当たり前だ」

 メルダース側も、慈善事業で生徒を育成しているわけではない。在学している生徒から学費を徴収しそれで学園を運営しているので、ラルフの学園破壊行為はメルダース側にしてみれば迷惑そのもの。

 そして修繕費は在学している生徒から得ている学費なので、ラルフは全ての生徒に影響を与えているといってもいい。クリスティが何が何でも借金を回収しようとしているのは、その点が関係している。

「で、話は変わるが……」

 ラルフの新しい休職先の話を終えると、今度はエイルの仕事に付いて尋ねる。上手くやっているかどうか――厳しい一面を持つフレイだが、やはり自分の息子が心配で仕方がない。

「皆、いい方です」

「真面目か?」

 それに対し、エイルは即答を避ける。親衛隊の一員の中に真面目の言葉が似合わないものが存在し、周囲への影響力が大き過ぎる人物がいるからだ。あのように見えて頭の回転がいいしラルフより物事を把握しているので、大きな意味で親衛隊の一員として相応しいのかもしれない。