だが、ここで負けては警備隊長は務まらない。彼は咳払いすると、ラルフに尋問していく。
何度も繰り返される質問にラルフはうんざりとしていたが、身の潔白を証明しないといけないので、身振り手振りを付け加えて必死に自分がメルダースの卒業者ということを話す。
彼の説明には矛盾が感じられず正しいことを言っていると思われるが、いかんせん彼の外見が最悪。アゼルは部下からラルフが所持していたメルダースの卒業証明書を受け取ると、証明書に書かれている文字とメルダースのエンブレムに視線を落とし、本物かどうか確認する。
アゼルはメルダースのエンブレムを何度か見た経験があったので、エンブレムから判断するとこれが正しい卒業証明書だと決断を下せる。だからといって、それだけでこれが「本物」という確信を持てるだけの材料にはならず、偽造された卒業証明書だったら一大事だ。
「で、クローディアに訪れた理由は親友に会いに来たと聞いたが、何処で暮している何という名前の人物だ」
「暮している場所は……」
「知らないのか?」
「あいつはクローディアが母国ということしか、話してくれなかったんだ。だから、詳しくは……」
「なら、嘘か」
「ち、違います!」
牢の中に閉じ込められるという状況に置かれるとわかっていたら、エイルにクローディアの何という村や街に暮しているか聞いておけばよかったと後悔するが、今更後悔してもはじまらない。
それなら親友の名前を言えばアゼルや兵士達が暮している場所を知っているかもしれないと、一途の望みを掛けてラルフは親友の名前を発した。しかしラルフが発したのはファミリーネーム抜きの名前なので、アゼルはそれだけの名前では何処に暮している者かわからないという。
彼の言葉にラルフは項垂れると、エイルのファミリーネームを思い出そうとするが、なかなか思い出せない。
その時、クローディアの民が信仰する女神エメリスがラルフに味方してくれた。天から降ってきたエイルのファミリーネームを言うと、エイルと自分は親友同士なので彼を捜して欲しいと頼んだ。
しかし、アゼルからの言葉はない。エイルのファミリーネームである「バゼラード」という名前に動揺しているのか、彼は神妙な面持ちを浮かべると、本当にそれが正しい名前か問う。


