ロスト・クロニクル~後編~


「見せてくれないの?」

「いや、魔法って危ないから……」

「危ないの?」

「下手すると、周囲の物を壊してしまう」

「……そうなんだ」

 エイルの話を聞き何となく魔法の力について理解したのか、シェラの顔から笑顔が失われる。しかしこれくらいで諦めるわけがなく、シェラはきちんとした場所を用意すれば大丈夫か聞いてくる。

「……多分」

「なら、お庭は?」

「庭は、植物が植えられている」

「なら、何処がいいかしら」

 何が何でも魔法を見たいのだろう、あれこれと場所を提示していく。だが、どれも魔法を使用するのに相応しい場所ではなく、周囲に迷惑を掛けるのは間違いない。特にシェラが提示した場所で驚いたのは彼女の部屋での魔法使用で、勿論間髪いれずにエイルは断った。

「皆、駄目なの?」

「それだけ、危ないんだ」

「だけど、見たいもの……」

 なかなか納得してくれないシェラに困り果てたエイルは、アルフレッドに視線を向ける。一方のアルフレッドもシェラの発言に参っているのだろう、困惑している。すると二人の気持ちに気付いていないシェラは「シードに聞いている」と言い、彼のもとへ行こうとする。

「ま、待って」

「どうして?」

「たい……いや、シードも困るだろうし」

 一瞬「隊長」と言い掛けるも、シェラに不信感を抱かせない為に慌てて言い換える。エイルの話にシェラは考え込むも、聞く前から諦めてはいけないと言い、シードのもとへ急ぐ。予想以上の行動力にエイルとアルフレッドは顔を見合わすと、慌ててシェラの後を追う。




 シェラの突然の発言に、シードは目を丸くする。これについては即答できないのだろう、言葉を詰まらす。シードも魔法の影響力について熟知しているので、シェアの頼みを聞き入れるのは難しい。いや、それ以上にエイルのことを「兄」と呼んでいることに、驚愕する。