親衛隊の一員として、鍛えている。
言い訳とは適切ではない苦しい内容に、エイルはアルフレッドに救いを求めたのが間違いだったと判断する。一方、アルフレッドはいい言い訳だと認識しているのだろう、胸を張る。
当初、シェラは兄が親衛隊の一員として鍛えているという事実に、驚き目を丸くしていた。だが、エイルの予想に反してシェラは「かっこいい」と言い、瞳をキラキラと輝きだす。
「かっこいい?」
「うん。かっこいい!」
「そ、そうか」
「お兄ちゃんって、いっぱいいっぱい努力している。かっこいいお兄ちゃんが、もっとかっこよくなる」
満面の笑みを浮かべながら語るシェラに、エイルだけではなくアルフレッドも唖然となってしまう。
アルフレッドにとって王家の人間は、気高く品がある人物。特にシェラに対し多くのいい印象を抱いていたので「お兄ちゃん」や「かっこいい」と連呼している姿に、言葉を失う。しかし、王家への忠誠が篤いアルフレッドは「シェラ様は女王陛下」と、何度も言い聞かす。
それでも――
途中で、項垂れてしまう。
「エ、エイル」
「何?」
「シェラ様って……」
「ブラコンだよ」
「そ、そうなのか!?」
「父さんが言っていたので、間違いないよ」
「……そうか」
「ブラコン」と聞いて返す言葉が見付からないのだろう、アルフレッドは思わずシェラを一瞥してしまう。その時シェラと目が合い、驚きのあまり逸らしてしまう。その反応がシェラにとって傷付く要因となったのだろう、頬を膨らませながらアルフレッドが苛めたとエイルに訴える。
「苛め?」
何が起こったのか理解できなかったエイルは、シェラにどういう状況で苛められたのか尋ねる。視線を逸らされたので、気分を害した――が正しい理由だが、シェラの説明は大袈裟で尾鰭が付く始末。完全にアルフレッドは悪の象徴と化し、角と尻尾を隠していると言われてしまう。


