ロスト・クロニクル~後編~


「そうか。お兄ちゃんは……」

「いずれは、この国を背負う身です。多くを学び、多くを知らないと……と、申し訳ありません」

「どうして、謝るの?」

「出過ぎた意見を――」

「そんなことないわ。お兄ちゃんは立派だけど、もっと立派になってほしいもの。お兄ちゃん、かっこいいから」

 シェラにとって兄であるルシオンは自慢の存在で、兄以上の存在はいないと言っているかのような雰囲気が漂う。また、兄からの手紙が相当嬉しいのだろう、何度も読み返しては表情を綻ばす。

「早く、返信しないと」

「お急がなくても……」

「お兄ちゃんに、待たせたくないもの」

「わかりました。侍女に頼み、何かご用意させましょう」

「紅茶がいいわ」

「畏まりました」

「あと、焼き菓子」

「はい」

 シードはシェラに向かい頭を垂れると、退室する。シードの退室と同時にシェラは机に向かうと、手紙をしたためていく。

 面白くて。

 楽しくて。

 兄が喜んでくれる手紙を――

 その一心で、手紙をしたためていく。

(お兄ちゃんって、友達いるのかしら)

 もしいるのなら、どのような人物か。

 と、気になったシェラは、その点をしたためていく。その他に、手紙に書かれていることで気になった部分を、ひとつひとつ質問していく。したためている間、シェラは笑顔を絶やさなかった。




「……という訳で、頼む」

 退室と同時に侍女を呼び寄せると、シェラの為に紅茶と焼き菓子を用意して欲しいと頼む。シードからの頼みに侍女は恭しい態度を取ると、頼まれた物を用意しに向かう。侍女と別れたシードは踵を返すと、今回の状況を伝えに信頼している部下――リデルのもとへ向かう。