ロスト・クロニクル~後編~


 なら、シェラ様は?

 シェラに味方についている者なら、誰もが抱く疑問。

 勿論、フレイも疑問視している。

 オルデランはシェラの身を第一に考え、エクセリオンに触れさせるのを拒んでいる。シェラは直系の王族とはいえ、彼女は12歳の女児。ましてやあのような精神状態で、玉座に座ることなどできない。そのように語るイルーズに、シードはミシェルのエクセリオンを求めた理由を話し出す。

 シェラは、真の女王になることができない。

 なら――

「ミシェル殿が王となろうとした」

「しかし――」

「そう、結果は散々だ」

「その時、守護者殿が止めに入った……か」

「よくわかったな」

「守護者殿なら、止めに入る」

「その結果が、あれだ」

「こう言ってはなんだが……」

 イルーズは途中で言葉を止めると、周囲に誰もいないことを確認する。誰もいなかったことを確認すると、囁くような声音で「不憫だ」と、ルークの味方をする。シード同様イルーズも、ルークは敵国の者であっても好意的な印象を抱いていた。だというのに、ミシェルに切られた。

 結果、周囲が苦労する。

「今日は、助かった」

「いや、構わない」

「イルーズの話の通り、真正面からミシェル殿に言うしかない。流石に、引っ掻かれることはないだろう」

「引っ掻くのか?」

「あのような性格の方だ、何をされるかわかったものではない。感情のままに動かれるからな」

「なるほど」

「しかし、今回だけは……」

「わかって頂かないといけない」

 イルーズの言葉にシードは頷くと、盛大な溜息を付く。実に重い役割だが、だからといって言わないわけにもいかない。同情するかのようにイルーズはシードの肩を叩くと、ミシェルから不平不満を言われて気分が滅入ったら、このように愚痴を聞いてやると声を掛ける。