「公子殿が、水晶の発掘を見たいそうだ」
「何?」
「手紙を携え、聞きに行ったが……」
「駄目だったか」
「即答はできないと言われた」
「普通は、そう言われるだろう。ましてや、あの方はこの国の者ではない。敵の者に、どうして……」
イルーズの言い分は、クローディアで暮らしている者なら誰もが発する言葉だろう。水晶はこの国を支える要であって、それを他国の者に見せる必要などない。下手に現場を見せれば、発掘場所丸ごと持っていかれるかもしれない。「自分は偉いんだ」と、前面に出し。
「確か、守護者殿が切られたとか」
「聞いていたか」
「あのような噂は、すぐに広がる。特に守護者殿は、常に側にいた方。それが、あのように……」
「迷惑をしている」
「それはわかる。守護者殿がいた時は、今よりは落ち着きがあった。しかし、今は……止めておこう」
これを言ったら愚痴というより悪口になってしまうので、イルーズは途中で止めてしまう。イルーズ自身ミシェルにいい印象を抱いていないらしく、盛大な溜息が続く。友の反応に納得するかのようにシードは頷いて見せると、どうすれば説得できるのか相談を持ち掛ける。
「難しい」
「そう言うな」
「しかし、難しいものは難しい」
「わかっている」
だからといって、言わないわけにはいかない。いや、丁寧に説明しても理解してくれない、理解しようとしないのだから厄介な人物であった。自分を中心にあらゆるモノが動いていると勘違いしているらしく、人の命さえ自由にできると考えているのだから面倒である。
「怒るぞ」
「怒らないわけがない」
だからシードはイルーズにいい説得方法がないのか尋ねたのだが、イルーズからの返答は冷たい。いや、ミシェルの性格を考えると冷たくなってしまうのは仕方がないことで、この世界に説得できる者はいるだろうか――とイルーズが語るほど、ミシェルの説得の難易度は高い。


