ロスト・クロニクル~後編~


「数多くの悪い部分が目に付きますが、成績は良かったです。進級試験は一度しか落ちていませんし、卒業試験は一度で合格しています。ただ、性格面が褒められなかったりします」

「聞いていればわかる」

 エイルの話にシードを含め、多くの親衛隊の面々が苦笑いを浮かべてしまう。しかし彼の話の信憑性は高く、彼の友人が間違いなくメルダースの卒業者ということは判断できた。それに卒業者と偽ればクリスティが許すわけがなく、彼女の地獄耳は人間を超越しているといっていい。

 どのような辺鄙(へんぴ)な場所で暮らしていようが、クリスティ自ら赴き徹底的に粛清を行う。だからメルダースの卒業者と言い他者を騙すようなことをすれば、人生が即終了してしまう。

 だが、そのような人物に間に入ってもらっていいのか――

 メルダースの卒業者と聞き安堵感も強いが、その反面〈破壊者〉のイメージがあまりにも強い。それでもこのようなことを頼むには、中に入って貰う人がいないと難しいのでその者に頼むしかない。

「連絡を取れるか」

「急いだ方がいいでしょうか」

「勿論だ」

「では、直接」

「いけるか?」

「馬を貸して頂きたいです」

「それくらい、構わない。それと、このような頼みをして申し訳ないと伝えておいてほしい」

「友人に……ですか?」

「いや、村長に」

 シードの返答に、エイルは表情に出さないがほくそ笑む。あのような人物を褒めていいものではなく、逆に褒めれば褒めるほど調子に乗って、後々で自滅するのはわかり切っている。それに自滅は一人で行えばいいのに、多くが他者を巻き込んで爆発するのだからいい迷惑だ。

「手紙を書く」

「それは、村長に……ですね」

「そうだ」

 シードは慣れた手付きで、事の詳細を記した手紙をしたためるとエイルに手渡す。手紙を受け取ったエイルは落としてはいけないと親衛隊の制服の内側に仕舞うと、用意された馬に跨り村へ急ぐ。久し振りの友との再会になるのだが、どちらかといえば気分がかなり重い。