「何と申しておけば……」
「水晶は、この国にとって重要な位置を占めている。簡単に見せるわけにはいかないが……」
といって、ミシェルが素直に聞き入れてくれるわけがない。相手は公子の立場を利用し我儘を言い続け、身内からも不満が噴出している。それに彼を諌めるべき役割にあったルークが側にいないので、更に増長するだろう。現に水晶の件も、クローディア側にしてみればいい迷惑だ。
そのようなことがわかっていても、下手に刺激すれば何を仕出かすかわかったものではない。特にミシェルの暴発は厄介であり、主人に逆らったルークは血を流し役職を奪われた。ミシェルの横暴を許さないのなら面と向かって拒絶すればいいが、今クローディアはそれができない。
「しかし、どうすれば……」
「隊長、いかがいたしましょう」
「私の一存で、決めるわけにはいかない。上の者の意見を仰がないと、何とも言えないだろう」
「そのように言って、納得するでしょうか。何と申しますか、あの方は様々なことがありまして……」
「言葉が過ぎるぞ!」
「も、申し訳ありません」
「そのようなことは、決して口にしてはいけない」
何処で誰が聞き耳を立てているかわからないので、ミシェルへの悪口は控えないといけない。いくら身内も手を焼いているとはいえ、一応一国の公子。表面上は恭しく接し、持ち上げている。それを知っているからこそ、シードは部下の失言を諌め厳しく注意を促した。
シードは盛大な溜息を付くと、上に報告に行くので何かがあったらリデルに連絡するようにと部下に言い残す。気が重い報告になってしまうが、だからといって言わないわけにはいかない。シードは部下に気付かれないように再度溜息を付くと、部屋を出て方向に急いだ。
ミシェルの言動についての回答は――
「仕方ない」が、上の言い分だった。
逆らっても仕方がないというのが言い分だが、本音は何を言っても無駄というものだった。しかしすぐにミシェルを連れて行くわけにはいかず、相手側の都合を優先しないといけない。まずは相手側への連絡だろうが、鉱山で働く者がいい顔をしないのはわかり切っている。


