ロスト・クロニクル~後編~


「強い者を強いと思えることは、素晴らしいことです。それが、敵国の者であったとしても……」

「そう言って頂けると、安堵します」

 ルークはシードと同等の力を持ちながら、主人に恵まれず報われない立場にいる。そのようなことが関係してか、ついついルークの存在を気に掛けてしまう。フレイの話にオルデランは納得したのか、何度か頷くとフレイの敵であっても他者を思い遣る心を褒め称えた。

「ところで、自慢のご子息は……」

「まだまだ、未熟なところが目立ちます」

「次男は、メルダースを卒業し親衛隊に入隊なされましたね。将来、バゼラード殿のように多くの者を……」

「そうなればいいのですが。メルダースで勉学面は優秀な成績を修めましたが、人生経験が乏しい」

「まだ、お若い。これから、多くのことを経験していけばいいことです。楽しいことも、辛いことも」

 十代後半のエイルにとって、どのようなことも将来に繋がる糧になるだろう。フレイは明確に言葉で表現することはしないが、クリスティが出した無理難題をこなし認められたエイルに期待している。期待しているからこそついつい厳しい言葉を言い、葉っぱを掛けていく。

 時折、耳に入って来るのはエイルの親衛隊としての振る舞い。いい噂も悪い噂も耳にせず、まずまずの仕事ぶりというところだろう。また、同期に入隊した者と仲良くやっていることは喜ばしい。親馬鹿とも取れる発言の数々にオルデランは愉快だったのか、顔が綻びだす。

「バゼラード殿のご子息ならいずれ……」

「そう、期待しています」

 いつまでも、自分が引っ張っていくわけにはいかない。いずれ息子達が先頭に立ち、多くの者を引っ張って行って貰わないといけない。それだけの実力を、息子達は持ち合わせていると自負している。そう力強くフレイは語ると、真っ直ぐな瞳でオルデランを見据えた。


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 ミシェルに刃向ったことで、エクセリオンの件からルークの立場が思わしくなかった。彼はミシェルの守護者の役割を持っていたが、主人からは邪険に扱われ近寄ることさえ許されなかった。「邪魔者」と言いたいのだろう、国に帰って好きにやっていいと言われる始末。