フレイが味方で、本当に良かった。
それが、オルデランの本音。
フレイが敵側に回っていたら、この国は簡単に乗っ取られていただろう。フレイ同様にオルデランも多くの知識を有しているが、策略を練ることに長けているわけではない。互いに敵対した場合、簡単に丸め込まれ神殿そのものまで支配下に入れられていたかもしれない。
自分を高く評価してくれるオルデランに、フレイは完全に頭が上がらなくなってしまう。また、これほど評価してくれるのだから国の平和の為に、誠心誠意尽くさないといけないと改めて決意する。
ふと、何を思ったのかフレイの脳裏に一人の若者の顔が過ぎる。その者は武芸に秀でていながら、仕える主人に恵まれず才能を十分に発揮できないでいた。敵でありながら惜しいと思える人物――ルークの存在をオルデランに尋ねると、どのような評価をしているのか聞く。
「あの者ですか……」
「ご存じで」
オルデランは過去に数回、ミシェルと共にいるルークを目撃している。また、主人からの酷い仕打ちを知っているので即答を避ける。だが、フレイと同等の意見を持っているのだろう、一言「勿体ない」と、呟く。敵対する国の者とはいえ、優秀な人物まで差別することはない。
ましてやあのような不遇な状況に置かれていれば、尚更である。ルークがエルバード公国ではなく、別の土地で暮らしていたらどうなっていたのだろうか。高い才能を買われ、それに相応しい地位に就いていたかもしれない。また、世界中に名前を轟かしていただろう。
そのように思うからこそ、オルデランは「勿体ない」と、呟く。普通であれば優秀な人物は高い地位に取り立てられ、国の更なる発展に尽力するもの。しかしエルバード公国はルークのような者を無碍に扱い、王者に相応しくないミシェルの我儘に付き合わされている。
「やはり、オルデラン殿も……」
「適材適所とは、いかないものだ」
「特に、あのような者の側にいれば……私も何度か見ておりまして、どうも気に掛かって……」
「お気持ちは、わかります」
「あれだけの才能を持っています。シードと同等に戦えるのは、今のところあの者だけです。ですので、実に勿体なく……いえ、特別扱いをしているわけではありません。これを聞いたら、怒る者もいるでしょう。敵国の者に、何を言っているのかと。ですが、私は……」


