そして、生半可な努力で超えられる存在でないと理解し、二人を目標とする。しかしエイルは、それ以上の高みを目指そうとしていた。勿論、シードとリデルは超えるべき目標だが、その上に父親がいる。超えられなくとも、父親に一歩でも近付きた。だからこそ、日々努力を重ねる。
練習後、城に戻ったリデルはシードにアルフレッドが望んでいたことについて尋ねてみる。勿論、シードはいい表情はせず、どれどころかそのようなことをして危険ではないかと聞き返してくる。それに対しリデルは反論することはできず、シードの意見が正しいと肯定した。
「くそ」
「……おい」
リデルの後方で立ち尽くしているエイルとアルフレッドは、二人のやり取りを耳にすると許可は下りないと判断する。下されないことにアルフレッドは不満が湧き出したのか、思わず毒付く。その毒吐きが二人の耳に届いてはいけないとエイルが寸前で制すが、悪い言葉は簡単に耳に届いてしまう。
シードの眉が微かに動き、リデルは振り返りながら睨み付ける。隊長と副隊長の同時の攻撃にエイルは身を竦ませ、アルフレッドは反射的に視線を逸らす。彼等のそれぞれの対応にシードは苦笑すると、今度はアルフレッドに言葉を掛け、言いたいことはハッキリ言うようにと注意する。
「そういえば、お前は何か言いたかったな」
「そうなのか?」
「あ、あれは……」
「何を躊躇っている」
「誰かに、迷惑を掛けたのか?」
「ち、違います。ただ……隊長と……その……剣がお強いと聞きますので、できれば練習を……」
「したいのか?」
「で、できましたら」
「魔法は使えないぞ」
真面目な表情でそのように言い放つシードに、アルフレッドはシードに魔法を求めているわけではないと話す。彼とは正々堂々と剣で勝負し、自分の実力を確かめたい。自分の腕前が、どこまで通じるか知りたい。アルフレッドは鼻息を荒くしながら、自分の思いを伝える。
その言葉は熱意が篭められたもので、いつもの不真面目なアルフレッドとは段違い。彼の話にシードは頷きながら聞き入ると、本当に勝負したいのか再度問う。それについてアルフレッドに迷いはなく、シードと戦えることはこれ以上ない光栄なことだと熱弁を続ける。


