ロスト・クロニクル~後編~


 魔法を使用すれば使用するほど魔力が消費され、肉体の疲労に繋がる。相手の力量に合わせて魔法を使いこなせてこそ一流の使い手で、捻じ伏せるだけでは三流の使い手といっていい。エイルはリデルとの練習でそれを学び、メルダース自体で学べなかったことを学べたことに感謝する。

 エイルの感謝にリデルは頭を振ると、自分も多くを知り学習できたので感謝していると話す。同時に魔法の腕が鈍っていなかったことが確認でき、良かったという。親衛隊の中で、魔法を使用できるのはエイルとリデルのみ。だからこそ互いに力を合わせ、敵に立ち向かう。

 練習を終えた二人の側に、アルフレッドとシンが駆け寄ってくる。特にアルフレッドが興奮隠しきれず、早口で彼等が使用していた魔法の感想を語っていく。どれもが大袈裟な言い方であったが正直な感想というのは伝わってきたので、リデルが苦笑しながら礼を言った。

「ふ、副隊長」

「どうしたの?」

「礼を言ったので……」

「私だって、礼を言うわ」

「俺って、いつも怒られているから……」

「それは、アルフレッドが悪いからだよ。でも、よく観察していたと僕は思うよ。それは凄い」

 普段、アルフレッドに毒を吐くエイルだが、認めるところはきちんと認めるので、彼が語った感想に高い評価を下す。アルフレッドは高い観察眼を持つ人物なのだろう、知られざる彼の特徴のひとつが判明する。しかし褒めると図に乗るので、エイルとリデルは褒めるのを程々とした。

 一方シンは、アルフレッドほどの素晴らしい感想を言うことはできなかったが、それでも的確に物事を捉えた感想で、リデルを満足させた。エイルもシンの意見が良かったのだろう拍手を送り、そのように言ってくれると自信が持てると話し、シンを喜ばせるのだった。

「剣で、魔法に勝てるかな」

 何を思ったのか、アルフレッドが魔法と勝負をしたいと言い出す。それについてシンは危ないと彼を制するが、アルフレッドはやる気満々。彼の意見にエイルとリデルは互いの顔を見合すと、無防備状態の詠唱時を狙えば何とかなるのではないかと、アドバイスを送る。

 二人のアドバイスにアルフレッドは興奮を覚えると、今すぐに対決したいと勝負を申し出る。これを向上心と取るか、馬鹿と取るか――あれだけの魔法を見て、対決を申し出るのだから命知らずと言っていい。だが、エイルにしてみれば、これはこれで面白いと思いはじめる。