「いいわ。これほどの力を持っているのなら、躊躇ってしまうもの。でも、貴方の力が見れて良かった」
「お怪我は?」
「大丈夫」
一瞬、魔法の力に飲み込まれそうになったが、魔法に対しての対抗は学んでいるので被害は免れた。それはメルダースで優秀な成績を修めていたリデルだからできたことで、他の魔法の使い手だったら完全に飲み込まれていただろう。それだけ、エイルが使用した魔法は強力だった。
しかし、これほどの魔法を簡単に使用していいものではない。特に周囲に守るべき者がいる場合、その人物に被害が行ってしまう。エイルの力は魅力的だが、使い方を誤れば一大事に発展する。まさに諸刃の剣というべき力に、リデルは制御に関しての注意を行なった。
「弱い魔法を使用します」
「できるの?」
「初級の魔法で、魔法力を弱めれば何とか。メルダース時代、色々とありましたので学びました」
「彼……かしら?」
「あいつもそうですが、それ以外の人物で……副隊長が在学中と違い、個性的な面々が……」
詳しいことは言いたくないので、敢えてその部分を伏せる。それでもエイルの言動で何がメルダース時代行われていたか理解したのか、リデルは苦笑してしまう。同時に、個性的な面々に出会ったことにより、大きく成長したといってもいい状況にリデルは嬉しかった。
相手が強ければ強いほど、練習に張り合いが出る。エイルの成長を認めたリデルは、もう一度練習を申し出る。勿論、エイルが断るわけがない。練習の機会が与えられたことに感謝し、最大限に活用する。再び、エイルとリデルが対峙する――そして、互いの力がぶつかり合った。
「有難うございます」
「いえ、私こそ有難う」
「勉強になりました」
エイルはリデルと魔法の練習を行っていたことで、自分に何が足りないのか学ぶことができた。魔法はただ使うだけではなく、時に頭を使わないといけない。確かに強い力で相手を捻じ伏せることも可能だが、それだけでは無駄に魔力を使用するだけで効率が悪すぎる。


