アルフレッドと違い、シンはリデルに向かい了承してくれたことに感謝するかのように頭を垂れる。シンの行動にアルフレッドも慌てて頭を垂れるが、慣れない行動の為に違和感が生じる。結果、おかしな行動を目の当たりにしたエイルとリデルは、同時に笑い出してしまう。
「な、何?」
「似合わない」
「お前は本当に、慣れないことが多い。私の前では普段通りでも構わないけど、隊長や要人の前では気を付けなさい。貴方の無礼な言動が、親衛隊そのもののイメージを悪くしてしまう」
「りょ、了解」
優しくも厳しい意見に、アルフレッドは背筋を伸ばす。物分りのいいアルフレッドにリデルは満足そうに頷き返すと、再度エイルに魔法の練習について話す。リデルの話にエイルは力強く返事を返すが、態度と心が一致することはない。それだけ、魔法の使用に迷いが強かった。
リデルが立ち去った後、真っ先に口を開いたのはアルフレッドだった。魔法の訓練で本当に手加減をするのか――その真意を知りたく、エイルを問い質す。彼の問いにエイルは肩を竦めた後、過去に一度として本気で魔法を使用した経験がないので、制御に自信がないと言う。
「マジ?」
「しかし、メルダースでは……」
「勿論、魔法の訓練や練習は行なっていた。行なっていたけど、制御ができる範囲で使っていた」
「副隊長は、許さない」
「わかっている」
「なら、どうする」
「……本気じゃないと駄目か?」
「当たり前じゃないか」
「そうよ。本気を出さないと」
アルフレッドとシンに注意を受けるが、躊躇いが拭えたわけではない。もし制御に失敗し、多大なる被害を出してしまったら――その思いが、今のエイルを支配する。しかしアルフレッドに言われるように、躊躇いはリデルが許さない。エイルは意を決したように頷くと、本気で使用すると決意する。
ただ、気をつけないといけない部分を二人に説明していく。魔法の力は使用者の力量によって左右され、上手く制御してこそ本来の力を発揮することができる。逆に失敗すれば魔法の力そのものが暴走し、周囲に存在する人間や物に被害が行くので、素早く逃げるように忠告する。


