ロスト・クロニクル~後編~


「私より、実力がない……と」

「……はい」

「そうですか。今は、これ以上の押し問答をしている暇はありません。ですが、実力を隠していた時は……」

 リデルの言葉に、エイルは何も返すことができないでいた。無言を続けているエイルにリデルは落胆に近い溜息を付くと、練習の時には本当の実力を出し魔法を使用するようにと再度釘を刺す。そうでなければ魔法の練習ではなく、ただの弱い者苛めになってしまうからだ。

「練習は、いつ」

「明日」

「わかりました」

「それと久し振りの魔法の使用……変に気張らない方がいいわ。その理由は、貴方がわかっているはず」

「……はい」

 練習の申し出を受け入れ、エイルは頭を垂れる。それを見ていたアルフレッドは、シンの指摘で最初は大人しくしていたが、我慢の限界が来たのだろう大声でリデルに「練習を見学したい」と、頼む。彼の突然の願いにリデルは眉を顰めると、どうして見学したいのか尋ねる。

「見聞を広める為です」

「お前の口から、見聞とは……」

「ほ、本当です」

「そのようなことを言わず、正直に言ったらどうかしら。見聞など、貴方には似合わないのだから」

「じゃあ……」

「じゃあ?」

「では……正直に。魔法って力を見たことが殆んど……というか試験の時に一度しか見たことがなく、きちんと魔法を見たく……所謂、好奇心ってやつなんです。凄い力と聞きますし」

 アルフレッドらしい意見に、リデルの口許が緩む。部下の好奇心に関してリデルは特に問題はないと言い、エイルが了承すればいいと返答する。勿論、エイルはリデルが了承すれば別に構わないと言っているので、この時点で二人から了承を得たので見学は可能となった。

 アルフレッドが了承を得たことに、沈黙を続けていたシンも口を開く。自分もアルフレッドと同じように魔法に興味を持っているので、練習の見学をしたいと頼む。珍しく自己主張を行なうシンにリデルは驚くが、このような機会は滅多にないので構わないと了承する。