「宜しいのですか」
「魔法の力は、隊にとって必要不可欠。ただひとつ条件として、周囲に影響を与えてはいけない」
「下手しましたら、破壊に繋がります。あの場所はメルダースと違い、保護がなされていません」
「そう。その点が心配。ですが、貴方ほどの使い手ならその心配は……それ以前に、魔法を期待しているわ」
「いえ、副隊長の方が実力が勝っていると思っております。僕は、基礎以外の応用は全く……」
そのように言い謙遜するが、アルフレッドが本当にそうなのか尋ねる。先程試験の時に使用した魔法は手加減していたと言っていたので、本来の実力を隠しているのではないかと見抜く。しかしエイルの謙遜は続き、自分よりリデルの方が高い実力を持っていると相手を立てる。
「そのように言うが、俺としてはお前の本気が見たいな。きっと、凄い魔法を使うんだろう?」
「たいしたことないよ」
「高い実力を持つ者は、己の真の力を隠す。そう、隊長が仰っていたことがあったわ。だから……」
「いえ、本当に……」
メルダースで魔法の基礎を学び、制御方法も理解する。だが、それは最低限の知識であって、魔法はその者が持つ魔力のキャパシティによって左右される。だから多くの知識を有していたところで、潜在的に高いキャパシティを持っている者に勝つことはできないと話す。
「言い訳だ」
「言い訳じゃない」
「ムキになっている」
「なっていない」
「そうか?」
言葉ではアルフレッドの言い分を否定しているが、言葉の端々に彼の本心が見え隠れする。エイルの珍しい反応にアルフレッドは驚くが、彼の必死の反応が面白かったのだろう、ついついからかってしまう。だが、からかいは長く続かず、途中でリデルに諌められてしまう。
それ以前に、勝手に話しに割り込んでくるのは失礼だということを話し、アルフレッドの悪い癖を指摘する。リデルの指摘にアルフレッドは罰の悪そうな表情を浮かべると、横にいるシンを一瞥する。一方シンは彼の言動に呆れており「静かにした方がいい」と、小声で囁く。


