魔法の力は、間違って使用すればあらゆる物を破壊してしまう。だから練習の場所の選択を誤れば、多大なる被害を出してしまうだろう。メルダースでは専用の練習場所が存在していたので特に問題はなかったが、卒業後の練習場確保には頭を悩ませるとリデルは語る。
「親衛隊の訓練所は?」
「あの場所は、部下も利用しているわ」
「一人の時は……」
「無理ね。それで一人で魔法を放っているのも、寂しいでしょう。何より、見た目が悪く……」
「……確かに」
「だけど、精神集中に関しては常に行うようにしているわ。集中を乱しては、魔法の制御がままならない」
リデルの話に納得できる部分があるのだろう、エイルは無言で頷き返すのみ。これに関してはエイルも人事ではなく、メルダースを卒業した今、どのようにして魔法の訓練をすればいいか迷う。流石に自宅で行えるのは剣の訓練程度で、それ以上のことを行えば庭師が泣く。
エイルはリデルと違いメルダースを卒業したばかりなので、すぐに腕が鈍るわけではない。それでも油断していると、腕は鈍ってしまう。リデルが悩むようにエイルもいずれ同じような悩みに突き当たるだろうこの状況に解決策を探すが、なかなかいい方法が思い付かない。
手っ取り早い場所といえば、隊員が利用していない時に訓練所を使うのが一番いいだろう。その時、魔法の使用には手加減を加え、周囲の物を破壊しないようにしないといけなく、いくら練習とはいえ周囲の物を破壊してしまったら、何を言われるかわかったものではない。
理路整然とまではいかないが、言葉を選びながらエイルはリデルに提案していく。最初は躊躇いの方が強かったが、エイルの意見に反論できるだけのいい方法が思い付かないリデルは、結局エイルの意見を受け入れていた。それに彼女自身、早く魔法の練習をしたかった。
「隊長に連絡を――」
「では、僕が」
「いえ、いいわ。私が、隊長に言っておきます。魔法の練習に関しては、元々私がやりたかったこと」
エイルはリデルの代わりにシードのもとへ行こうとしていたが、リデルがエイルの言葉を制し自分が代わりに行くという。それよりアルフレッドやシンのもとへ行き、元気になった姿を見せてやった方が何倍もいいと伝えると、リデルは爽やかで美しい笑顔を浮かべた。


