佐藤が一段落つけたその時、裏口のドアがゆっくりと動く気配がする。 「ん?」 「あの〜」 じわ〜っと、ドアが狭く開き、隙間から智子が顔を覗かせる。 「ご飯の用意出来ましたけど、お仕事、終わりましたか?」 よかった、今日は突き飛ばさなかったみたい。 「ああ、丁度いいタイミング。すぐ行く」 「は〜い」 智子は、そのままソロリとドアを閉める。 「…あれは、一応気を使ったって事かな」 佐藤は頭を傾げながら、表に回る。