森に抱かれて



「おい、謙太郎」

要は裏に設置しているガスコンロに寸胴鍋をかけて草を煮出している佐藤に声を掛ける。

「なんだ、話はもう終わったのか?」

「終わるどころか、始まってないよ」

「え?なんで?」

鍋をステンレスの棒で掻き混ぜながらキョトンとした顔で要を見る。

「謙太郎さぁ」

「何?」

「この前、一人じゃ寂しいから犬でも飼おうかって言ってたよな」

「…言ってたか?そんなこと」

佐藤は鍋を見つめて無駄にグルグルと棒を回す。