森に抱かれて


「じゃ、俺が木綿やるから、シンイチは絹ね」

「はい」

佐藤は二つの鍋をそれぞれ火にかける。

「はい、ハンカチ絞って、入れて」

「はいっ」

二人は自分が担当する方のハンカチを絞って、広げながら、ゆっくりと染液に浸けていく。

「はい、温度計」

「温度計?」

「そっちは80度に温度を保って」

「80度?」

「ああ。こっちは70度」

「違うんですね」