「こーちゃん!最近、桜木君といい感じじゃないー?」

「えっ!?どこが!?」

「だって、毎日話してるよね?しかも、桜木君の方から話しかけてるし!」

「そ、そんなの隣の席だからだよー」

「えー。絶対こーちゃんに気があると思うー!」

「いやー、ないない。そ、そんなことより、ほら!早く部活行こ!」

「照れてるー(笑)」


最後の一言は聞こえなかったフリをして、部室に向かって歩き出す。


まーちゃんは、何を言い出すんだか。

桜木が私に気がある?
絶対ないでしょー!
たまたま隣になったからだよ!


しかも、私はまだ、翔磨が好きなんだから。

うん、そうだよ。
私は翔磨が好きなんだよ。


って、あれ?
私、何言ってるんだ?

桜木に、直接告白されたわけじゃない。
ただの、まーちゃんの予想なのに。


なのに私は、“翔磨が好きだから、桜木はごめんね”みたいに考えてるの!?

これじゃ、桜木が私に気があるってこと、真に受けてるみたいじゃん!


うわー、なんだこれ。
矛盾してる。
自分が自分で、訳わかんなくなってるー!


こうなったのも、まーちゃんのせいだ!
という思いを込めて、キッと睨んだ。

でも、ペロッと舌を出してかわいく謝られたから、一瞬で許してしまったのは、言うまでもない。