―――あれは、入学式の日のこと。


長い式もようやく終わり、やっと1年生の教室に着いたけど。

ぐるりと周りを見回してみて、“やっぱり知り合い、いないなぁ…”と不安でいっぱいだった。


人見知りで恥ずかしがり屋な私は、自分から声をかけるのが苦手。

1人も友達が出来ないかも、と思うと泣きそうだった。


そんな気持ちで、空いている席に適当に座って横を見ると、私みたいに不安そうな顔をした男子がいて。

最初は、親近感がわいただけだと思ったけど、気付いたらその男子から目が離せなくなっていた。


たぶん、一目惚れだったんだと思う。


見たことのない顔だったから、隣の小学校の人だろうな。と思った。