君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~


……すっ


4人全員の、始めのブレスがしっかり合った時は、いつも上手く演奏できていた。

今も、誰一人ずれることなく入ることができた。


よし。
出だしは好調だ。


吹き始めると、少しずつ緊張もほぐれていき、みんなとアイコンタクトをとれる余裕も出てきた。


最初の鋭くてかっこいい部分も、真ん中の柔らかい音色の部分も、最後の1人1人に見せ場がある部分も。

全部全部、やりきった。


何ともいえないような、清々しい気持ちを感じながら外に出ると、家族や、引退した先輩方がいた。


「お疲れ様。すごく良かったよー!」

と声をかけてもらった後は、みんなに見つめられながら記念撮影。

恥ずかしいのと、嬉しいのが混ざった気持ちだった。


楽器を片付けに、ロビーに戻ろうとした時。

視界の端に見えた2つの影。

それは、どんどんこっちに近付いてきた。


なんとなく気になった私は、その方向に目をやると。


「…え?桜木と…翔磨…?」

そこには、私服姿の2人がいた。


「え…なんで…?」

来てくれたと知ってすごく嬉しいのに、驚きの方が強すぎて、こんなことしか言葉にできない。


「私が桜木君に頼んだの。…嫌だった?」

横にいたまーちゃんが、申し訳なさそうに小声で聞いてきた。

なるほど。
そういうことか。


「ううん。びっくりしたけど、嬉しい。ありがとね」

私も小声でそう返すと、まーちゃんは笑顔で頷いた。