桜の季節は終わり、もう海の季節になったかと思うと、あっという間に台風とともに秋が訪れた。私はこの季節になると、無性に楽しくなる。なぜなら食べ物なりスポーツなり読書なりと、紅葉と同じく彩り緑の季節になるからだ。

 外を歩くと、もみじとイチョウの色合いに見とれて、ついつい公園のベンチに腰を下ろしてしまう。時々緑色のイチョウもあって、少し早いクリスマスを思い立たせる。

 しかし銀杏のにおいはたまらない。あれさえなければ完璧なのに、なんにでも欠点があることを改めて実感する。

 空を見上げると、きれいな海のように澄んでいて、雲は魚のように見えた。すると大きな黒い魚が、右から左へ移動した。風は雲と落ち葉を運ぶ。いったいどこへ連れて行くつもりなのであろうか。

 私は腕を頭の後ろに組み、大きく体を伸ばす。そしてお日様の光を浴びて、光合成をする。これが私の習慣である。


 今日も家事をこなすと、お昼を食べ、茶色のダウンを着る。そして晴れ晴れとした外へと飛び出し、いつもの散歩コースを歩く。家でゴロゴロするなんてもったいない。疲れていても、何かやるより何もしていないほうが疲れる。このことを知らない奥様たちはかわいそう。

 秋風に吹かれ、頬の熱を一気に取り去る。だが、私はそのことを寒いとは思わなかった。こんな風より冬のほうが寒いに決まっている。常にプラス思考、これが私のモットーだ。

 しかし風はやまずに、次々と冷たい槍を突き刺すかのように吹く。今日はなんだかいつもと違う感じ。なんかイヤだ。私はそんなことにかまわず、ずんずんといつもの散歩コースを進んでいった。

 その時であった。風は私を追い返すかのように突然吹いた。そしてその勢いを加勢するかのように、槍を持った小さな妖精たちが大群となって襲ってきた。妖精は無様にも地面へ落下していくものもいれば、私の体に攻撃してから散っていくものもいた。そして一人の妖精は私のダウンにしがみついた。しかしすぐに妖精を取り払い、急いでもとの道に戻った。