「はー」

 私は息を吐いて手を温めた。そしておみくじと書かれている六角形の箱をお母さんに取ってもらい、シャカシャカと振る。そして出てきた棒の先端に書いてある数字と、引き出しに書いてある数字が同じの引き出しを開ける。この開けるときのドキドキ感がたまらない。一番下から二番目の引き出しであったので、私でも手が届いた。そしてそこからおみくじを取り出し、真ん中に巻いてある紙をとっておみくじを開いた。しかしその字が読めなかった。

「お母さん、これなんて書いてあるの?」

 去年とは違うことは確かであった。書いてある漢字が違うからだ。

「ん、これは…凶、ね」

 お母さんは苦笑いをつくった。私はすかさず聞き返す。

「キョウって何?」

 お母さんは苦痛そうな顔をして答えた。

「ん…これはね、ええと…あなた何だっけ」

 お母さんはお父さんに振った。お父さんはぎょっとした顔をして、どうしようかと迷っていた。しかしあることを思いついたのか、すぐにもとの顔に戻った。

「凶っていうのはな、まぁ、簡単に言うと…そう、去年のよりも悪いっていうやつなんだけど、めったにこれを引くことができないんだ。つまりだな、当たりであって、はずれでもある、オールマイティなものなんだ。分かった?」

「うん、分かったけど…今年の運勢は?」

 お父さんはたじろいだ。そしてお母さんと同じように苦笑いをつくった。

「ん…ん、えーと、そうだな。正直言って…悪い、運勢なんだ」

「ふーん」

 私は決して落ち込まなかった。どっからあふれてくるのか、変な自信が私のことを幸せにすると言っている。私もその自信を信じている。

 お父さんは励まそうとしたのか、私に明るく言った。

「でもな、大丈夫なんだ。悪いおみくじを引いた時は、枝におみくじを結びつけて、そのおみくじの効果を天の神様になくしてもらうんだ。でも、良いおみくじを引いた時も枝に結び付けて、今度は天の神様にそのおみくじの通りにしてもらうんだ。良いおみくじは良い効果を、悪いおみくじは厄除けになるんだ」

「へー」