君の背中を見つめる恋

キーンコーンカーンコーン…


「あ、チャイム…」


校舎内に響くチャイムに
香乃が顔を上げた。

いつの間にか
HRの予鈴が鳴って、

濡れた顔を拭いながら
慌てて立ち上がる。


「………」


でも、

さっきの出来事が
頭に浮かんで。

その場で固まった。


「もう、サボっちゃおうかな…」


いや、サボリはやっぱり
ダメか…な……

仕方なく重い足を動かして
階段を下りていく。


すると、


「あ、」

「ん?あれ、仁科さん?」


阿部くん下から上がってきた。

またこんな時に何てタイミング…