君の背中を見つめる恋

ドクンドクンと
心臓が騒ぎ出す。

この空気に耐えられなくて
香乃が教室から飛び出した。


「…仁科!」


後ろから中山くんの声が
聞こえても、

ただ廊下を走った。


香乃の遠ざかってく
足音を聞きながら、

中山がくしゃっと
髪を掴み上げる。


はぁー…と溜め息が漏れて
鞄を床にドサッと下ろした。


何…やってんだよ、俺。


俺には……、


『待っててね』


待って居なくちゃいけない奴が居るのに…