「っ、うん……」


香乃がコクコクと
頷く。

今はこれが精一杯で。


そんな香乃を見て
中山が香乃の手を引いて

ギュッと抱きしめた。



「…長く待たせて、ごめんね」


頭上から優しい
言葉が聞こえて。

香乃がそっと背中に腕を廻した。


初めて好きな人に
ぎゅっとされて、

ホッとする反面
ドキドキとする。


だけど、

これが心地良いものだって
この時初めて知った。