ブンキテン



「ふぅん、苦手なんだ。」

その声が、始まりだった。

天使の時より半オクターブくらい低いその声に、私の震えはすっと止まった。

「……え?」


「これ、嫌いなの?」


いつの間にか目前に来ていた浅岡の顔のそばに、ヤツが、いた。

「ギィイイャアアアアアアアアァァァァ!!!!」

今度は抑える余裕もなく、飛び出していた悲鳴を後に、私の意識は一旦途切れた。