ゆめのの夢は夢のまま

「明日のご飯はー
何かなあー♪」


「ご機嫌ねゆめちゃん?」


病室で楽しそうに笑うゆめのに
看護師は少し嬉しそうに声をかけた


「んふふわかる?理恵さん」


理恵と呼ばれた看護師は
考えながら採血の準備をしていた


「んーゆめちゃんのご機嫌の理由は今日のお昼がお魚じゃなかった事かしら?」

「違うよ!私はお魚も好きだもの」


ゆめのはぷくーとむくれたフリをした。
そんな元気そうなゆめのを見ながら理恵は
たんたんと仕事をこなしてゆく


「はい、終わり。ゆめちゃん案外元気そうよねー私も安心だわ」

そう言った瞬間





「安心 ね。」
ゆめのの雰囲気が変わった

しかしまた元のゆめのに戻る


最近こういう事が多いのよね と
理恵は心の中で呟き

ゆめのの病室を後にした








深夜の病室は静かだ。


薄暗く廊下も奥のほうが見えない。
どこまでも続いているのではという錯覚におちいる




そんな病院でゆめのは1人起き上がり


窓の外へと飛び出して行った。





いつものパジャマではなく

ふわりと広がる
フリルと共に暗闇へと出掛けて行く




「さてと、仕事の時間ね」

不敵な笑みを浮かべながら、呟く

昼の彼女からは想像もつかない
黒さで。