「あれ、何もねーや」


そういえば、食べたっけか、味噌らーめん。


確かあったはずだろう最後のカップラーメンがいつの間にか食べてあったという面倒な展開に。

台所の下の棚をあけ、コンビニに行くか迷いつつ、うーんとうなり。
お腹もぐうっとうなった。


「…仕方ない。買いにいくか」


さっとぞうりをはき、2分足らずでつくコンビニへとむかった。


二階の部屋に住んでいる為、真向かいにある小学校やら一方通行の道路などある程度見渡せる。
こんな時間帯はすぐ近くの大通りの車の音さえもあまり聞こえず、人がいるわけもなく、すこし怖いのだがもう慣れているし、20後半にもなる男がそんなこと思ってたら気持ち悪い。



そんなこんなでお目当てのものと、明日の朝ご飯もプラスで買いさつさとコンビニからでてお腹が減りすぎたので
足早にかけていると、

「ん?」

二階の俺の部屋のドアの前に誰かいた気がした。


勧誘とかーって今何時だよっ
迷惑だな


「はぁ」


少し憂うつになりつつ見間違えであることを祈りつつアパートの階段を登ると、

やはり自分の部屋の前には頭をひざにつっぷし体育座りした人がいた。



髪は結わえてなく、黒いロングの髪がさらさらと重力に負けて落ちていく。


だ、誰だこの人。


とりあえず、女性らしいので、襲われることはないだろうし大丈夫か、、

って刃物あったらやばくね?


色々思いを巡らしあわあわしていると

急に女が顔を上げこちらをみた。


「!!!」

やばい、俺携帯もってねーっ


「ごめんなさい、急に…あなた崇さんよね?」

「え…?は?な、何で…」

「あ、表札…で、」

「…あー」

妙に律儀な性格なせいか名前をフルでいれていたのを思いだし、後で剥がすか、ともおもった。

「田山 崇さん。実は私はあなたの遠い親せきで、訳あって身を匿う必要があってここにきました。」

「はい?」

「いや、信じられないかもしれないんですが、ぜんぜん交流もなく、ほんの少しの血縁で頼れる条件にあう人あなたしかいなくって…お願いです!少しの期間でいいから匿って下さい!」


「あ、あの来るとこ間違ってますよ?交番とかの方がいいんでぇ!?」

ぐいーっと壁に隠れるように引っ張られ、しっと人差し指でサインされた。

「今足音するでしょ?」


ひそひそと俺に話しかける彼女に、うんうん、と無言でうなずいた。

確かにざっざっと人の歩く音が響いている。

「あれね、追ってなのよ。…音がだいぶ遠ざかったわね。早く今のうちに家あけて!」


「えぇ!!?」


「静かに、早く!」


「うぇぇ?あ、はい開いたけど。」

扉が開いた瞬間ばっと彼女にタックルされるように家になだれこんだ。


バッタン!


隣人もびっくりな大きな扉の閉まる音が響いた。


というかこの音、その追ってとやらにきづかれたのでは?

とさぞびくびくしているであろう彼女を見るために振り向くと


「よし、なんとか撒いたみたいね!ありがとう!助かったわ♪」

と満面の笑顔を見せて背伸びをしていた。

あれで果たして大丈夫だったのかは疑問だが…



改めて見た彼女の見た目はスラッとしていて、サバサバしていそうな、こちらが気を抜けない雰囲気をかもしだしている…

どちらかというと俺が苦手な部類にいそうな女だった。



「私は…まなつ、白木 真夏です。よろしくね」


そしてどちらかというと好きな部類の口調
とトーンだった。